英国発の幸せを呼ぶラッキーアイテム
結婚式というおめでたい人生の門出にはいくつか幸せを呼ぶとされるジンクスのある品物が使われます。
その中の一つとして中世の頃から広く用いられてきたものとして「6ペンスコイン」があります。
日本人にとっては「6ペンス」という数字を聞くと複数の硬貨を合わせた数字のような印象がありますが、英国内においては「6ペンス」は1枚のコインとして発行されてきた伝統的なお金です。
先に英国における「6ペンス」について詳しく説明をしておくと、コインが作られていたのは1551年~1967年まででその間歴代の王や王女の姿が刻印されてきました。
最初の6ペンスコインに描かれていたのはチューダ王朝のエドワード6世であり、以後なんと22名の王や王女がそのデザインとして採用されてきました。
なぜ「6」なのかというと、当時英国では20進法と12進法の2つを混在した単位計算の文化があったためで、ポンド、シリング、ペンス、ペニーという複数の単位によって貨幣計算が行われてきました。
最小のコインの単位は1ペニーだったのですが、ペニー硬貨は銅製であり、銀貨の最小単位は6ペンスとなっていました。
なお現在では英国も国際基準に合わせて10進法が使われるようになったので、6ペンスという単位は不要となっており現在は一般に流通される貨幣としては製造されていません。
ですが幸せを呼ぶ銀を使ったアイテムとしての人気は依然として高く、古銭として再利用される他アクセサリーとして製造をされることはあるようです。
ちなみに造幣当初は本物の銀を使っていましたが、のちに日本における100円玉と同じ素材である白銅貨として発行されるようになっています。
マザーグースの歌が言い伝えの起源
このように英国人ならとても馴染みが深い6ペンス硬貨ですが、これが結婚式などのお祝いの品物として使用されるようになったきっかけはマザーグースの歌が起源です。
マザーグースのサムシングフォーの歌の中に、花嫁の左の靴の中に入れると幸せになれるという歌詞があることから自然に結婚式の時に使われるようになったようです。
同時に花婿の胸のポケットの中に入れるという方法でもよく使用をされています。
なお6ペンス硬貨には22種類のデザインがありますが、どの王や王女が描かれているかによっておまじないの意味が微妙に異なってくるとされておりこだわる人は詳しく意味を考えながらどの硬貨を使用するかを選び分けるというふうにも使われます。
最も人気が高く広く使用されているのが現在の女王であるエリザベス2世のもので、最長寿の女王として広く手にする人に幸せをもたらしてくれるものと言われます。
他にも代表的なものとして、現在のエリザベス女王の父親にあたるジョージ6世のものがありこちらは第二次大戦中にロンドンがドイツ軍によって空襲された際に国から逃げ出さず、国民を励ますためにその地にとどまったということで絶大な支持があります。
またジョージ6世は妻であるエリザベスを愛していたということでもよく知られており、ドラマにもなったことから結婚式のお祝いとしてこちらもかなり多くの人に選ばれています。
もっと言うと同じエリザベス2世のコインにも年代によってレア度が異なるので、どうしても欲しいという人はコインコレクターから購入をしてみるとよいでしょう。
結婚式が終わったあともラッキーアイテムとして使用
6ペンス硬貨はラッキーアイテムとしてよく知られていますが、他にも英国の作家サマセット・モームの「月と六ペンス」という小説に使われたり、日本でも有名になったアメリカのポップスバンド「sixpence none the richer」の名前にも使用されるなど象徴的なアイテムとしてしばしば目に入ります。
「月と六ペンス」における6ペンスとは現実的なお金の問題としての象徴的な存在です。
「sixpence none the richer」はアイルランド系の小説家であるC・S・ルイスの小説を由来にしたものであり、子供が父親へのプレゼントを購入するために父親本人から6ペンスをもらったというくだりから「none the richer(=それで裕福になったわけではない)」という意味で用いられます。
いずれも現実での経済生活を象徴する存在としての意味が強いアイテムといえるでしょう。
結婚生活においてはお金の問題も非常に重要になってきますので、式で身につけたコインをそのままキーホルダーなどとして長く持ち歩く人も多いようです。